『なぜ呼吸筋トレーニングが必要か？』

身体の持続力をアップさせるためには【最大酸素摂取量】をアップさせる必要があるとされている。

最大酸素摂取量とは、単位時間あたりに摂取できる酸素の最大量のこと。この量が大きいほど運動強化の高いスポーツを長時間行うことができます。

呼吸することで酸素を体内に取り入れ、さまざまなエネルギーに変えて運動しています。つまり酸素をより多く体内に取り入れられることは、運動エネルギーもより多く作り出せるという事になるので、肺活量をアップさせると体力もアップするといえます。肺活量を鍛えることは体力を向上させ健康維持にも繋がっていくのです。

肺は自ら広がったり、縮んだりすることはできません。肺の周りの筋肉【横隔膜、内外肋間筋、胸鎖乳突筋、斜角筋、腹直筋、腹斜筋など】が働くことで肺が広がったり縮んだりします。これが呼吸です。呼吸に使われる筋力(呼吸筋)は主にお腹の中にある横隔膜と肋骨の間にある肋骨筋です。横隔膜が縮むと胸腔が広がり、肺の中に空気が入って息を吸うことができます。(吸気)

反対に横隔膜が緩んで風船が萎むように胸腔が縮むと肺の中の空気が押し出されて息を吐くことができます。特に、息を吸い込むときの最大の筋肉である横隔膜を鍛えることで呼吸筋が強化されます。横隔膜と大腰筋は背中の腰椎という部分が連結しています。横隔膜を鍛えることは呼吸機能を向上させるだけでなく、上半身を安定させ、下半身の動きをスムーズにする役割も果たします。

足腰の筋力トレーニングを行うのと同じように呼吸の際に使う筋力(呼吸筋)も鍛えることができます。いわば、呼吸のダンベル体操です。息を吸ったり吐いたりする呼吸は、普段は無意識に行なっていますが、人間が生きる上で欠かせない重要な動作です。呼吸筋が衰えると呼吸が浅くなったり、少し動いただけで息苦しさを感じたりします。そこで、呼吸筋を鍛え(呼吸筋トレーニング)、より深い呼吸を可能にすることは、日常的な息切れを減らしたり、運動中の呼吸をさらに快適にしてパフォーマンスの向上に繋がります。

呼吸筋トレーニング(IMT)によってメタボリフレックスを遅らせることができます。メタボリフレックスは筋代謝受容器反射といわれ、呼吸筋の疲労によって血液を優先的に呼吸筋に集中させる現象で運動中に引き起こされる反射です。それにより手足など末梢への血液循環が鈍くなり、全身の筋肉に蓄積される乳酸菌が増えてさらなる乳酸量が増えて、さらなる筋肉疲労(パフォーマンス低下)へと繋がります。つまり、下肢を強化出来ていても、呼吸筋が衰えていれば本末転倒となってしまいます。

特に運動中は酸素の消費量が多くなり、呼吸の乱れや息切れが生じやすくなります。呼吸筋トレーニングで吸気能力を高めることは、呼吸筋の疲労を和らげることに役立ちます。